富士そばのラーメン・和風ラーメン - 東京立ち食いそば

富士そば券売機のラーメンと和風ラーメン

富士そばは、1966年に渋谷で丹道夫氏が創業した日本初24時間営業の立ち食いそばチェーン店である。

富士そばは立ち食いそば屋でありながらも、店舗によってはラーメンが喰える。

ラーメンが400円和風ラーメンが270円だ。2012年の話である。

幸楽苑の中華そばが304円、日高屋の中華そばが390円(一部店舗では290円)で、中華食堂一番館の醤油らーめんが390円、かけらーめんが290円だ。

富士そばのラーメンや和風ラーメンの価格帯は、まさにこれらのラーメンチェーン店のラーメンを標的にしている。

丸千代山岡家のによる新業態のポラリスでは、醤油ラーメン、塩ラーメン、辛味噌ラーメンが390円で、かなり満足できるラーメンが喰えてしまうのだが、これは今現在では店舗数から考えても異例な新興勢力だといえる。

富士そばの和風ラーメン

富士そばの和風ラーメン

富士そばの和風ラーメンとは、かけそばのそばを中華麺に変更しただけのメニューだ。鰹節の効いたつゆも、具のネギやワカメも全く同じだ。違うのは、そばが中華麺になったという、ただその一点だけだ。

そばは、温かいかけそばで喰うよりも、冷たいもりそばで喰ったほうが美味い。富士そばに限った話ではないが、特に生そばを使っている立ち食いそば屋では、そういう傾向が顕著だ。かけよりも、もりのほうが、そばの香りを楽しめるという、蕎麦通ではない。立ち食いそばに香りは期待していない。歯応えや口当たりが問題なのである。かけそばは、ふにゃっと柔らかかったり、ぼそぼそとしたり、またぬめりを感じたりすることが多いのだ。

そこで、寒い日に立ち食いそば屋でかけを注文するときには、そばではなくて、うどんを注文することで、かけそばを避けてしまうことがある。そばよりも、うどんのほうが熱に強く、食感がそれほど劣化しないのだ。しかし、あらためて考えてみると、確かに別に中華麺でも悪くはないんじゃなかろうかと思う。

富士そばの和風ラーメンがその答えだ。まさに、かけラーメンである。

美味いと絶賛するような味ではないけれども、それなりだった。美味くもないが悪くはない。しかも、あろうことか、かけそばよりは美味い。富士そばのラーメンは、確かにマニアックなメニューであることは間違いないが、一度食べてしまえばもう二度と食べることのないメニューではなく、今後も選択肢の一つとして充分にアリなメニューだ。

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作者:馬場飯