池袋 君塚のかき揚げ丼 - 東京立ち食いそば

君塚は1982年に池袋で創業した24時間営業の立ち食いそば屋で、立ち食いそばチェーン店を除けば、池袋で最も有名で老舗の個人経営の立ち食いそば屋である。

君塚 店舗

君塚は池袋駅の西口五差路の角地の一つにある。 池袋駅を背にして、左がマルイで、右が君塚となる。

道路に面した間口が非常に広く、店内の奥行きがない。 座席は全くない。 文字通りの立ち食いそば屋だ。 にもかかわらず、店内でのすれ違いには注意が必要だ。 本当に店内の奥行きがないのだ。 道路に張り付くような店の構造になっている。

出入口は店を正面にして左右に二箇所ある。 右側に配膳口があるので、右側から入店すると、その後がスムーズだ。

君塚 天丼(かき揚げ丼)

2019年1月に君塚で天丼(かき揚げ丼)を食べた400円だ。 君塚の天丼とはかき揚げ丼を指す。 天丼が海老天丼を指さないのは、立ち食いそば屋では頻繁にある光景だ。

券売機はない。 短冊のメニューから注文品を決めて、配膳口で厨房に向かって口頭で注文する。 配膳口で注文品を受け取ったら、配膳口の右脇に置かれた紅生姜などを適量丼などに追加してから、適当なカウンターまで運び、食べ始めることになる。

カウンターに七味唐辛子と胡椒は置かれているが、水はセルフサービスだ。 配膳口右手に給水機ある。

かき揚げのタネは玉ねぎ・紅生姜・春菊だった。 当然ではあるが玉ねぎが大部分を占め、紅生姜と春菊は極少量アクセントに加えられているだけだ。 かき揚げは揚げ置きされたものだ。 衣は薄くはないが、それほど極端に厚くはない。 玉ねぎをかき揚げとしてつなぎ合わせるのに適量の衣が使われている。 むしろ玉ねぎの大きさのほうが印象に残るぐらいだ。 かき揚げにはタレがかけられている。

かき揚げをかじる。 美味い。

タレの量はちょうどいい。 油は癖がある。 癖のないサラダ油ではない。 仮にサラダ油だとすれば、使い回しによって、いい感じに熟した油だ。 衣はサクサクとしていない。 ふにゃふにゃとした食感のコロモにタレと油の風味が染み込んでいる。 紅生姜が入るという点がやや新しく感じられるものの、昔ながらの立ち食いそば屋のかき揚げだ。 これはこれで何ら問題ない。 悪くない。

問題なのはご飯だ。

ご飯は米の粒が小さく、炊き加減もやや柔らかめで、粒と粒が一塊になっている所もあった。 好みとはかけ離れたものだった。 今後再び君塚に再訪したとしても、金輪際ご飯ものが注文しないことだろう。

かき揚げ丼にはたくあん三切れと味噌汁がついていた。

たくあんの枚数はたまたま三切れだったのではない。 すっかりと忘れていたのだが、実は2016年10月にも君塚でかき揚げ丼を注文しており、そのときもたくあんの枚数は三切れだった(それと今更だが、かき揚げのタネに人参ぽいのも発見)。 本来、たくあんは二切れがいいのだが、お固い話はなしにしよう。 枚数が多い分には満足だ。

味噌汁の具はネギとワカメだ。 レトルトの味噌汁のような気もするが、出汁はしっかりと効いていた。 全然問題ない。悪くない。

さて、結論なのだが、君塚の天丼(かき揚げ丼)はおすすめできない。 やはりごはんが致命的に問題だ。 かき揚げがとても魅力的すぎて、3年前にも注文したことをすっかり忘れて、今回もかき揚げ丼を注文してしまっているのだが、今回が本当に最後だ。 君塚でご飯ものはもう二度と注文しない。

11時から14時までの間ならば、いわもとQの小天丼300円を注文して、ごはん大盛り無料サービスを利用していただきたい。さらに、ごはん大盛券+50円を追加してもいい。揚げたての天ぷらの天丼が堪能できる。至高の体験ができることを保証する。ただ、かき揚げ丼はおすすめできない。ガリガリのかき揚げなのだ。好み次第ではあるのだが、君塚のかき揚げのほうが圧倒的に美味い。どうしてもかき揚げ丼が食べたいならば君塚を利用すべきだ。

上記の時間帯が外れるならば、仕方がない。池袋駅の東口になるが、てんや南池袋支店を利用することになる。公式サイトから50円割引クーポンを入手して、天丼540円を490円で購入する。残念ながら君塚より高額になるし、かき揚げ丼でもない。単品ごはんにかき揚げトッピングという裏技もあるが、万人におすすめできる方法ではない。

しかし、こうしてあらためて考えてみると、君塚の天丼(かき揚げ丼)は、ごはんが不味いにもかかわらず、昔ながらのかき揚げの圧倒的な魅力で、他では代替しがたい需要がありそうだ。

君塚はテイクアウト(持ち帰り)が可能

君塚ではテイクアウト(持ち帰り)ができる。

君塚でテイクアウトする利点が今ひとつ理解できないが、徒歩数分圏内に公園はある。 一つは池袋西口公園だ。 大きな広場とステージがあり、日常的にイベントスペースとして利用されている。 地べたに座り込んで食事する心構えがあるならば別だが、屋台が立ち並ぶことも多く、君塚のテイクアウト先としては向いていない。

やや離れるが、西池袋公園が食事をするのに最適だ。 常に賑わっている公園ではあるが、広さがある。 君塚でテイクアウトしたら、最初から西池袋公園に向かうのがベターな選択だといえる。

君塚のなす天

君塚の天ぷらで最も有名なのが、なす天である。

4-6月は長なすが旬となる。 君塚ではこの時期になす天を注文すると、巨大ななす天が提供される。 しかし、なす天の価格は据え置かれており、この時期、君塚ではなす天が一番人気のメニューとなる。

むらめんの茹でそば

君塚の店頭にはむらめん(株)の麺箱が置かれていた。

むらめん株式会社は製麺所で、そば・うどん・中華麺等の生麺・茹で麺・冷凍麺を製造している。1948年に愛知県岡崎市で創業、1960年に東京都世田谷区太子堂で有限会社むらい麺店に法人成り、1975年に株式会社むらい麺店へ移行、1990年に世田谷区用賀に移転、むらめん株式会社に社名変更した。

峠そば、めんや、福そば、そば新、大吉田、丹波屋、豊しま、明神そばといった立ち食いそば屋が、むらめん株式会社のそばを採用している。なお、嘉味庵、京香はむらめんのブランドらしい。麺箱に嘉味庵、京香とあれば、むらめんが製造したそばである。嘉味庵は生そばブランドで、京香は茹でそばブランドのようだ。嘉味庵は峠そば、めんや、福そば、そば新、大吉田が採用しており、京香は丹波屋や豊しま、明神そばが採用している。

君塚では、むらめんの茹でそば黒・白の2種類のうち、茹でそば(黒)を採用している。コンテナ入り・袋入りの茹でそばだ。このコンテナが君塚の店頭に積み置かれているため、自分を含む君塚の客たちが、むらめんの麺箱を発見したと喜び、ウェブでむらめんを調査することになるのだ。

君塚のなにわ

君塚では店頭でつゆをアピールしている。 当店の「つゆ」は本がつおを主原料にじっくり熟成させ老舗のそば職人が関東風にこくある美味さに仕立てた伝統ある味です。 そういうことらしい。 つゆは、かつおや昆布を1時間毎に出汁を取って、カエシと合わせているそうだ。 そして、店頭には、なにわについての説明書きもある。 そば・うどんを関西なにわ味でご希望の方[なにわ]とご注文してください。 君塚では、遅くとも2011年には君塚は浪花かけそば・うどんの販売を開始していた。 2012年には「関西味でも、できます。『浪花』と注文して下さい」と店内の掲示が確認できる。

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作者:馬場飯